2011/01/11(火) 19:06:20
[霞ヶ関・天下り問題] 霞ヶ関に屈服した菅内閣<2>
役人が自分で待遇を決めている民主党の「公務員改革」―――10月15日に国会に参考人として出席したことで注目を浴びました。
参考人として呼ばれることが決まった以上、選択肢は2つしかない。「職務外なのでお答えできません」と言うか、きちんと私の考えを言うか。結局、公務員改革を放っておけば大変なことになるという気持ちが強く、考えを話したのです。答弁席に歩いていくギリギリまで迷いましたけどね。
現役官僚でありながら、私が“公務員改革”を訴えているのは、危機感からです。日本は未曾有の危機に直面しているのに、いまの公務員制度のままだと日本のために必要な政策が出てこないと懸念しています。
しかも、いま民主党が進めようとしている“公務員改革”は、役人が作った案です。自分たちの待遇を自分たちで作っているのです。本当にこのままでいいのだろうか。違う意見があるということを誰かが発信しなくてはならないと思ったのです。
公務員制度の大きな問題は、公務員が国民のために働く仕組みになっていないことです。国のためではなく、役所の利益になるかどうかが基準になっています。
―――古賀さんの出張報告を国会に提出する時、幹部が一部を改ざんして問題になった。
驚きましたね。国会に対してそんなことをするのですから。そんな子供みたいなことをすれば必ずバレます。でも、役所にとってまずいと、省益だけを判断基準としているから幹部が削ってしまったのでしょう。
まずは、人事評価のシステムを変えることです。これから思い切り日本を変えていこうという時に、省益を評価基準にしていては、大きな政策が出てくるはずがありません。
新しい政策を生み出すためには、改革意欲のある若手官僚を登用したり、民間の有能な人材を活用することです。イノベーションを生む原動力になる。結局、政策は“人”なのです。
しかし、優秀な若手や民間人を登用するためには、古い幹部には退いてもらわないといけない。ポストを空けるためです。ところが、いまの公務員制度には、降格の仕組みがない。局長や部長の身分保障をなくさなければそれができない。(つづく)
[インタビュアー] ジャーナリスト・BS11キャスター 鈴木哲夫
※古賀茂明 1955年生まれ。麻生高、東大法卒。80年に通産省入省。事務次官の登竜門とされる大臣官房課を経て、産業組織課長など中枢を歩む。前公務員改革事務局審議官。現在は大臣官房付。
【改革官僚が語る~霞ヶ関に屈服した菅内閣】より
(日刊ゲンダイ 2010/12/21 掲載)
「政策は“人”なのです」――。どんなに立派な政策や法律を作ろうとも、すべては“人”なりですねw
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