ゲンダイ的考察日記

2008/12/06(土)

[経済・金融] 「資本主義の終わりが迫っている」−慶大准教授「小幡績」氏が語る

小幡績
もはや、誰にも見通せなくなってきた世界恐慌の行方だが、リーマンショックのはるか前から、今日の事態を予言していたのが小幡績慶大大学院准教授だ。東大経済学部首席卒業、大蔵省入省。退職後は行動する経済学者として知られる同氏に「戦慄の今後」を聞いてみた。

私は、資本主義は終わるのではないか、極端な話、当事者同士の物々交換のような経済に戻るのではないか。そんな懸念すら持っています。
私は、自著「すべての経済はバブルに通じる」(光文社新書)で、過度に増殖した金融資本主義が続く限り、ちょっとした実体経済のつまずきが、とんでもない危機を招くと警告しました。彼らはありとあらゆるところにレバレッジを利かせた投資をしているからです。事態の解決には金融資本主義が一度、消滅する必要があり、その意味では今、米国経済は「最終段階の崩壊ステージ」に入ったと思います。すでに投資銀行は消滅か、商業銀行に衣替えし、残ったゴールドマン・サックスなども膨張意欲を失っている。私は米国の金融資本主義は死んだと思います。

この後は実体経済が病に侵されていく。その過程で、再び、金融危機が静かに深く進行する。その結果、米国債危機、ドル危機が待ち受けている。これが今後のシナリオです。
焦点はビッグ3ですが、オバマ政権はビッグ3を救っても救わなくても地獄です。救わなければ失業率が急上昇し、米国経済は大混乱する。救えば、米国の財政破綻に直結する。政府系住宅公社への再度の資本注入やシティーグループの危機の可能性が高まっていますから、ますます、米国の財政危機は深刻化する。すでに米国債のデフォルトリスクをデリバティブにしたCDSの史上高値更新が話題になっているほどです。
おそらく、ドルの暴落は避けられず、世界は基軸通貨を失う。かといって、他の通貨でドルに代わるものはありませんから、債券、証券に続いて、ついに貨幣の信用が失われるわけです。そうなれば、投資どころの話ではありません。資本主義経済そのものが成り立たなくなり、まさかの物々交換経済に戻ってしまう。

もちろんドルが紙クズになることはないでしょうから、物々交換は極論かもしれませんが、ドルが暴落すれば、各国は自国の経済を守るのに必死になります。グローバル化した経済はブロック化に向かわざるを得なくなる。自国の通貨圏内だけの経済に縮小していく。

ここ数年、外需により依存してきた日本経済は、国内がそれほどの危機でなくても、大きく落ち込みます。そうなる前に政府はありとあらゆることをすべきです。それなのに麻生政権の気合のなさは何でしょうか。株が下がり、不動産は全く流動性を失い、企業は資産を現金化できず、バタバタ潰れている。民間に需要がまったくなく、経済活動が止まっているのですから、政府がカネを出して、需要を創出するしかないでしょう。例えば、国が株や不動産を買い上げる。もちろん、財政赤字は拡大しますが、いまさら10兆円程度の債務拡大を躊躇すべきではない。米国政府、FRBは破綻するんじゃないか、と言われるほど資金を出しているんですよ。日本政府は何もしていないのと一緒です。
ヨーロッパも気合を見せている。リーマンを潰した米国が世界中から見放されたように、政府の信用が最後の砦であることを知っているのです。ブレ続ける麻生政権は、信頼もないし、気合もない。このままでは日本の資本主義経済は死滅の危機です。

(日刊ゲンダイ 2008/12/04 掲載)

レバレッジ(leverage)」とは
経済活動において、他人資本を使うことで、自己資本に対する利益率を高めること、または、その高まる倍率。

デリバティブ」とは
伝統的な金融取引(借入、預金、債券売買、外国為替、株式売買等)や実物商品・債権取引の相場変動によるリスクを回避するために開発された金融商品の総称である。英語のDerivativesに忠実に、「デリバティブズ」と呼ばれることも多い。日本語では派生商品(はせいしょうひん)という。
デリバティブ(derivative)は、「誘導的な」「派生した」という意味である。

CDS」とは
クレジット・デフォルト・スワップ (Credit default swap)の略称。クレジットデリバティブの一種で、債権を直接移転することなく信用リスクのみを移転できる取引である。最も取引が盛んなクレジットデリバティブのひとつ。頭文字をとって CDS と呼ばれることが多い。銀行の自己資本比率を高める対策の一環として利用されるケースも多い。
(Wikipediaより)

「『ビッグ3』を救っても救わなくても地獄」というのは衝撃的ですね。ビッグ3が落ち目だということは前から分かっていたことです。それでも、“腐っても鯛”だと思っていた。それが、公的資金の援助を受けなければ破綻しかねない状況とは驚いた。“救っても救わなくても地獄”なら破綻させたほうがいい。連邦破産法(日本でいう民事再生法)を適用して、トヨタがスポンサーになってやれば、混乱は最小にとどめられるはずだ。夢物語か?
一方、麻生政権は金もないし、気合もない。政策を総動員どころか、何か決めても、「財源はどうするのか」「予算が組めないけどいいのか」と言われて何も決められない。その上、麻生首相はいつも笑っている。信じられない光景だ。


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