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ゲンダイのみかた

2011/01/30(日) 22:10:31

[政治(菅政権)] 菅政権には失望した

自民化するなら総選挙をやり直せ
LOVEは異質なものを求め、LIKEは同質なモノを求める心の作用だそうだ。とすれば、菅首相は、自民党を愛しているのではなく、好きなんだろう。なにしろ、菅の発言や振る舞いを見ていると、自民党との同質性が際立つのだ。

通常国会の代表質問。自民党の谷垣総裁は、菅政権のマニフェスト放棄を「憲政史上最大の公約違反」と攻めた。これに菅は何と答えたか。「公約の多くは実施、着手されている」と言ってのけたのだ。民主党は09年衆院選のマニフェストで200兆円超の総予算の組み替え、公約の履行に必要な16.8兆円を捻出するとした。

ところが、事業仕分けと埋蔵金でやりくりしたカネは2兆円にも満たない。予定の8分の1程度の財源で、よくもまあ「多くは実施」と言えたものである。反省ゼロで強弁する姿勢は、旧自民党政権と瓜二つ。「熟議」だ何だと言っているが、真摯に議論する気など、これっぽっちもないようだ。

小沢元代表を悪者に仕立て上げ、党内対立を煽ることで支持率を上げる手法は、抵抗勢力をつくった小泉元首相をマネたものだ。日本国債の格下げについて聞かれ、「そういうことは疎いので」と“正直”に答えたところは、失言を繰り返して追い込まれた森元首相を彷彿させる。枝野官房長官があわてて「総理は国債の信認について強い問題意識を持ち、日ごろから情報の収集と分析にあたっている」と援護したが、信じる人はいないだろう。

マスコミを引き連れて書店を訪れるパフォーマンスは麻生元首相が“先輩”である。

27日の衆院本会議では、自ら「平成の開国」と命名して最重要視するTPPを「IPP」と読み間違えた。法人税の「引き下げ」も「引き上げ」と連呼。こんなマヌケぶりまで先輩そっくりだ。

民意無視のモンスターに変身にした菅
極め付きは、自民党が臨時国会で提出し、継続審議となっている「財政健全化責任法」の丸のみである。
自民党時代に法案のとりまとめに関わった与謝野経財相は「大変価値のある法律。菅首相もそう思っていると思う」と発言。自民党案に賛成し、税と社会保障の一体改革をめぐる与野党協議に引っ張り込もうとしている。

ここまで来ると、民主党と自民党は、名前を除くとみんに一緒になってしまう。思惑も同じである。何が何でも消費税を増税したいのだ。菅は、自民党案を丸のみした上で、国家破産の道を進めた旧自民党政権の尻拭いまでやるつもりである。どこまでも自民党が好きな男だ。

法大教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「消費税増税によって回復途上の経済と暮らしが破壊されるのがいいか、それとも増税せずに財政を破綻させて社会保障がズタズタになるのがいいか。菅首相にアタマには不毛の二者択一しかないようですが、財源を消費税に限定するのはおかしい。なぜ、個人の金融資産や企業の内部留保に課税することも考えないのか。富裕層や大企業を優遇して庶民から搾取しようという発想、自民党政権と同じです。政権交代を望んだ多くの有権者はこんな政治を求めていたわけではありません。米国に服従する姿も自民党とそっくりです。TPPは、日本市場を弱肉強食のジャングルに変えるものです。勝ち残るのは、価格面で優位な米国勢。日本が強いとされる製造業だって、みんなが生き残れるわけではありません。農業票を基盤にする自民党は、さすがにここまではやれなかった。むしろ今の民主党政権は、自民党政権よりも先鋭化しています。とんでもないモンスターに変身しつつあるのです」

菅は、政官の癒着まで復活させる気だ。「成績が良かっただけの大バカ」と批判したのも忘れ、天下り廃止や人員削減には手を付けず、特権階級気取りで税金にたかるハエを野放しにしている。今月21日には、政務三役の会議に次官が同席するのを認め、次官や局長レベルで府省間の調整をやることもOKと認めた。自民党政権時代と変わらぬ官僚政治、官僚天国の復活である。これほど有権者を裏切った政治家は、憲政史上、初めてではないか。

素知らぬ顔で自民党政治に逆戻りは許されない
自民党政治に逆戻りするつもりなら、国民を納得させる説明をしてもらいたい。それを怠り、民意を無視して突き進むのは、独断独裁政治にほかならない。われわれ国民は、そんな強大な力をスッカラ菅に与えた覚えはないのだ。勘違いしてもらっては困る。

気鋭の哲学者、佐々木中氏は、26日付朝日新聞でこう説いていた。
<人間は「なぜ」を問う生き物です。「どうやって」だけでは人間ではない>
<政治の核心は「論証」です。「なぜ」に答えて理由や根拠を示すことです。それを見失えば政治は死ぬ。しかし今の政治家はこれを忘れ果てて、我々も「なぜ」という声をあげることがやましいことであるかのように思い込まされています>

自民党が大好きなのは分かった。でも、それは「なぜ」か。真っ当な政治家なら、答えられるはずである。

菅は小沢を呼びつけ、「政倫審に出席しろ」「『政治とカネ』を説明しろ」と突き付けた。だが、マトモな国民が知りたいのは、存在すら疑われる小沢疑惑なんかじゃない。市民派気取りだった菅が百八十度の変節をした理由だ。素知らぬ顔で宗旨変えが許されると思ったら、大間違いである。

有権者が望まない不条理を説明しろ
1年半前の衆院選。有権者が政権交代を選択したのは、自民党の政策ではダメだったからだ。構造改革、規制緩和、市場開放を進めても、国民は豊かにならない。官僚主導の政治と決別し、米国の言いなりをやめ、「国民の生活が第一」を目指す。それ以外に道はなかった。だから、民主党が政権を担うようになったのだ。

菅は「不条理をただす政治」とか言っているが、自民党政治を望まない国民に選ばれた政権が自民党政治への回帰を目指す不条理については、どう考えているのか。自民党政治を拒絶した国民の思いは変わっていない。それを無視する「なぜ」にも、逃げずに答えてもらいたい。

その上で、1年半前の総選挙をやり直すのがスジである。菅は「自民党政治の継承」を堂々と訴えればいいだろう。

政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「民主党が『国民の生活が第一』のマニフェストを訴えてから、まだ1年半しかたっていません。ところが、菅首相は、その舌の根も乾かぬうちに、民意に反し、あれもこれもやめようとしている。こんなデタラメがまかり通るようでは、国民の政治不信は最高潮に達します。旧自民党政権のような政治でいいのか。菅首相は国民に信を問うべきです」

解散・総選挙から逃げ回っても、4月には統一地方選がある。惨敗すれば政権はグラグラだ。その前に、政治家としての矜持(きょうじ)を示してもらいたい。

(日刊ゲンダイ 2011/01/28 掲載)

当てにならない国債の格付けのなんか気にする必要はないけれど(むしろ円安に向かうことを歓迎すべき…)、総理大臣が「疎い」なんて言う場面はないはず。国会での菅首相、眠いのを必死で我慢しているように見える時がある…。嘆かわしい(ーー;)

この人も嘆いています↓

こんな党作ったつもりではない…鳩山前首相 (⇒2011/01/30 読売新聞)
“創業者”が“共同創業者”の経営を批判――。民主党の鳩山前首相は30日、名古屋市内での街頭演説で「こんな党を作ったつもりではなかった」と述べ、党の現状を嘆いた。
 1996年の旧民主党結党時は、鳩山氏と菅首相が共に代表を務めた。その鳩山氏が菅氏の政権運営に懸念を示すのは、小沢一郎元代表の国会招致などを巡る党内対立が続いているからで、「友愛の心を持った、友達同士を大切にする民主党にしていかなければならない」と訴えた。

【ゲンダイネット】

28日スイスへ出発 菅首相ダボス会議出席は壮大な税金ムダ遣い (1/28)

集中連載【国民は騙されている 小沢「強制起訴」の虚構】
「1億円ウラ献金」を証言した水谷建設元会長のいかがわしさ
 (1/27)

なめてんのか! 前原外相 参院外交演説に大ブーイング (1/26)

【田中康夫 にっぽん改国】
「その日暮らし内閣」よ、「増税」に逃げ込むな
 (1/26)

昨日から雪がちらつく天気。今年の冬はホントに寒いです。

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2011/01/28(金) 21:59:18

[政治(菅政権)] こんなハズではなかった政権交代

07年の参院選。全国で民主党に投じられた票は2400万票だった。小沢代表率いる民主党は60議席を獲得し、参院第1党に躍進した。

続く09年の総選挙。さらに民主党への期待は増し、3347万票が投じられた。308議席。当時の鳩山代表、小沢幹事長は熱狂的支持を受けて政権交代を成し遂げたのである。「国民生活が第一」のスローガンに大多数の有権者が夢を託したわけだ。

ところが、あれから1年半。目を覆いたくなるような民主党政権の堕落とテイタラクと変節はなんなんだ。
政権交代の功労者だった小沢と鳩山は執行部を追われ、小沢にいたっては犯罪者扱いされ、党内で抹殺されようとしている。

代わりに司令塔として招き入れたのが、ミスター自民党で大増税論者の与謝野馨ときた。狂っている。
で、首相の菅は、この不況の中で「消費税アップだ」と叫び、農業潰し・失業者増大のTPPに突っ走っている。正気なのか、この首相と民主党は――。

「全部、アメリカ、財界、財務省、大手メディアの手のひらの上で踊らされているのですよ。“小沢を切った方が、アメリカが喜ぶし、支持率が上がるよ”“法人税減税をして、消費税アップを打ち出せば、財界は味方になるよ”と言い寄ってくる人たちの声を聞いて、魂まで売ってしまったんですよ。突き菅といわれるように、菅首相には政治理念も芯もない。自分が延命するための損得勘定しかないのです」(経済アナリスト・菊池英博氏)

「国民の生活が第一」が、いつから「財務省、財界、アメリカが第一」になったのか。3900万票への重大な裏切りである。政権交代に期待をかけた支持者ほど、民主党に失望し、カンカンに怒っているのだ。

民主党に詳しい評論家の塩田潮氏はこう指摘した。
「民主党政権に託されたものは、安定と改革。これを両立させるのは難しい。しかし、菅さんは新政権を担った以上、意地でも目指さなくてはいけないのです」

そういうことなのだ。ハナから「改革」の志を捨て、自己保身、自己延命のための「安定」にだけ突っ走る菅。あまりに醜悪、下劣だ。

(日刊ゲンダイ 2011/01/28 掲載冒頭部より)

今日の一面記事、「菅政権には失望した」の方が面白いですが、当日掲載は問題があるため、また…。
しばらくお休みをしてしまいました。ごめんなさい。
”貧乏暇なし”とはよく言ったものです(*^_^*)


※記事全文はこちらを↓
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2011/01/20(木) 22:39:26

[政治(菅政権)] 野党が手ぐすね引く、新閣僚の醜聞

ロートル議員や参院選のA級戦犯を次々入閣させ、評判最悪の菅改造内閣。菅首相は「日本の改革を推し進める最強の体制にしたい」とバカ騒ぎしているが、野党は「攻撃しやすい人たちが増えた。通常国会が楽しみ」と舌なめずりしている。野党のターゲットは、与謝野大臣の“無節操”だけではなさそうだ。

藤井副長官の「アル中」
野党が手ぐすね引くのはまず、官房副長官に就任した藤井裕久(78)だ。昨年1月の体調不良から財務相を辞任したくせに、ケロッと副長官になるとはいい加減な話だが、周囲が心配するのは「財務相を辞めた本当の理由?」なんてささやかれている“アル中疑惑”の方である。

「藤井さんは日本酒が大好きで、カバンにはカップ酒が入っています。財務相時代は、夕方5時まで待てず、焼酎をビールで割った“バクダン酒”をおいしそうにあおっていました。最近も自宅に若手議員を招き、深酒していたそうです。官房副長官は24時間態勢。しっかり務まるんですかね。第二の中川昭一になるんじゃないかと、との声も出ています」(政界関係者)

江田法相の「キャバクラ」
参院議長を務めながら、ノコノコと法相に就任した江田五月(69)も身ぎれいではない。自身の政治団体のスタッフらが、5年間にわたりキャバクラなど風俗店でドンチャン騒ぎ、利用料金237万円を団体から支出していたことが判明している。発覚したのは一昨年だが、その後、民主党は自分で「政治とカネ」のハードルを上げた。新たな不正が出てくればアウトだ。江田は、東大生時代に安保闘争に明け暮れ「アメリカの核実験は許さん」と仲間300人と共に自民党本部に乱入。逮捕された前科もある。これは若気の至りにしても、死刑執行に慎重な姿勢を見せていることから、ここも野党にネチネチ攻められそうだ。

与謝野経財相の「カネ」
与謝野経済財政相(72)も“弱点”は「政治とカネ」だ。通産相の時に、監督対象の商品先物取引会社から、毎月25万円の迂回献金を受けていたことが発覚。ところが記者会見では「善意の献金に対し疑う余地はないと思っていた」との弁解を繰り返した。それでなくても、与謝野はごっそり政治献金を集めている。頻繁にセミナー形式のパーティーを開き、毎年5000万~6000万円の収入を得ている。

「企業・団体献金は限度額が決められた範囲で当然許されるべきこと」と言っているが、民主党は通常国会に「企業団体献金を3年後に全面禁止する法案」を提出する方針だ。自民党時代の弁明は通じなくなる可能性があるし、自民党もたちあがれ日本も、与謝野の集金方法は熟知している。「無節操」とあわせて、ガンガン攻められそうだ。

菅がノンビリ構えていられるのも、今のうちだけである。

(日刊ゲンダイ 2011/01/17 掲載)

 ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

「廃材内閣」とは、よく言ったものだ。使い終わって、あとは捨てるだけになっていた人材をカキ集めた再改造内閣。

まあ、老人が何でも悪いわけではないが、参院議長で一丁上がりだった。江田五月が法相、同じく過分の衆院副議長までやった中野寛成(70)が国家公安委員長、そして自民党で燃え尽きたはずの与謝野馨が経済財政相として寝返り入閣。さらに財務相を放り出して消えていた藤井裕久まで官房副長官就任というのだから、フザケている、ヒドすぎる。「老人ばかり集めて最強体制か」と大手紙も呆れていたが、当然だ。

「菅総理は昨年11月の臨時国会でヘトヘトに疲れた。危なっかしい新人大臣よりも、大ベテランを並べた方が無難で国会運営が楽と判断した」と官邸関係者は明かしたが、そこに大きな落とし穴がある。むしろ、菅バラック内閣はちょっと揺さぶれただけでペシャと潰れる運命だ。

(01/17 一面記事より)

 ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

内閣改造不発 大手3紙の世論調査が出揃う
どこも「不支持」が「支持」を圧倒

注目の支持率は、
朝日 26%(+5)
毎日 29%(+5)
読売 34%(+9)

不支持は、
朝日 54%(―6)
毎日 49%(―7)
読売 55%(―10)

与謝野経財相の起用も、朝日では「評価しない」は50%で、「評価する」の31%を大きく上回った。
内閣改造が政権浮揚につながらなければ、菅政権は窮地である。

(01/17 記事より)

期待がもてない菅政権への失望感から、最近、政治への関心が薄れてきたような…。

【ゲンダイネット】
与謝野攻撃 自民今度は誓約書を暴露 (1/20)


集中連載【国民は騙されている 小沢「強制起訴」の虚構】どこを探しても出てこない「虚偽記載」の事実 (1/19)

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2011/01/18(火) 16:31:09

[霞ヶ関・天下り問題] 霞ヶ関に屈服した菅内閣<6>

霞ヶ関はどんな世界か

――霞ヶ関はどんな世界ですか。

いまでも忘れない印象的な上司の言葉があります。かつて通産省が投資家保護のために、リースクレジット債権の金融派生商品の安全性をチェックして、国がお墨付きを与えるという法律をつくりました。それに伴って審査する財団もつくった。当然、そこへ通産官僚が天下りするという構図です。理事長がキャリア、事務局長がノンキャリアです。

数年後、私が「ある程度年数が経って周知されたから、もう必要ないのでは」「法律を廃止しましょう」と提案したのです。その時、当時の上司から言われた言葉です。

「いやあ、寂しいねぇ」と。その上司が言うには、「確かに理想は君の言うとおりかも知れないけど、君の立場は、たとえ外部からこの法律を廃止しようと言ってきても、最後まで体を張って反対することじゃないのか」と。もちろん、「財団が廃止になれば仲間の就職先もなくなるんだぞ」

――その時どう思ったか。落胆とか怒りとか。

ああ、そんなふうに考えるのかと思いましたね。むしろ、まともだと思っていた自分の方がおかしいのかなとさえ思ったものです。

要するに、霞ヶ関共同体、互助会、共同組合、みんなで支え合っていこうという空気が強いのです。みんなの生活は守って行きましょう。いま直接、自分が得するかどうか別にして、組織全体のことを考えて、先輩の生活も良くなるし、自分も将来、役所に世話になるからという考え方です。それなのに合理的なわけです。(おわり)

[インタビュアー] ジャーナリスト・BS11キャスター 鈴木哲夫
※古賀茂明 1955年生まれ。麻生高、東大法卒。80年に通産省入省。事務次官の登竜門とされる大臣官房課を経て、産業組織課長など中枢を歩む。前公務員改革事務局審議官。現在は大臣官房付。

【改革官僚が語る~霞ヶ関に屈服した菅内閣】より

(日刊ゲンダイ 2010/12/28 掲載)

こんな官僚と菅政権は戦えるでしょうか?
こういう状況は、霞ヶ関に限らず大企業を中心とした民間企業でもある…。


【ゲンダイネット】

大丈夫か、民主党!? 党幹部人事のア然、ボー然 (1/17)

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2011/01/17(月) 07:32:04

[政治(菅政権)] 霞ヶ関に屈服した菅内閣<5>

財務省のシナリオに乗せられた菅内閣の予算編成――
財務省に踊らされている菅内閣の実態は、来年度予算の編成にも見られた。

「そう見られても仕方ないでしょう。政官一体の最大の政治ショーが繰り広げられた。いかに消費税が大切かという認識を国民に持たせる、ただその一点のためだけにいろいろ仕掛けがされたように見えます」

――「子ども手当」のドタバタもそういうことですか。

「子ども手当がどうだ、いくら上積みできるのかと、要するにわざとしばらくフラフラさせて、財源をひねり出すのがいかに大変かということを国民に印象付けようとしたのでしょう。そのたびに民主党が小手先で動き、あちらこちらから財源を小出しにしてきた。しかも、新聞記事は必ず最後のところに『小手先の対応だ。財源は消費税を含む抜本改革の議論から逃げてはいけない』との記述がある。そうなれば、国民は消費税は上げるべきだと考えてしまいます」

――それは財務省のシナリオだと。

「偶然と考える人はいないでしょう。菅政権はそれに気づかずに乗せられているのか、一緒に演じているのか。数千億円の話なんか国全体の借金から見れば小さな話です。年金基金の取り崩しもどうってことはない。それなのに、ことさらそれを大きく取り扱って、いかに財源がないかというところに持っていっているように見えます」

――しかし、消費税増税は必要なのではないですか。

「問題は、国民が、消費税増税で問題が全て解決するという錯覚に陥ってしまうことなのです。消費税で財政再建しようとしたら、すぐに30%にしなければならなくなります。消費が30%減って経済はガタガタ、いずれ破綻でしょう。洗脳された国民はそうとも知らずに増税に少しずつ付き合っていく。騙されちゃいけませんね。財務省が考えているのは税制改革大綱の中に消費税を何と書くのか、来年どこまで増税を具体化できるか、それだけとしか見えません。真に大事なのは社会保障改革と痛みを恐れない成長戦略です。そこの絵がまったくないんです」
(つづく)
[インタビュアー] ジャーナリスト・BS11キャスター 鈴木哲夫
※古賀茂明 1955年生まれ。麻生高、東大法卒。80年に通産省入省。事務次官の登竜門とされる大臣官房課を経て、産業組織課長など中枢を歩む。前公務員改革事務局審議官。現在は大臣官房付。
【改革官僚が語る~霞ヶ関に屈服した菅内閣】より
(日刊ゲンダイ 2010/12/27 掲載)

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